学長メッセージ


佐渡林業実践者大学学長の小澤普照です。
平成六年六月、前学長の故近藤元次先生の十四年間の業績を引き継ぎ二代目学長に就任しまして、早いもので十二年の年月が過ぎました。
この間、毎年わが国の一流の人物にお願いして佐渡で講演をしていただきました。
また、松食い虫被害対策として、抵抗マツの植栽を提唱し、実行も行いました。
毎年四十人前後の受講生を迎え、同時に送り出して参りました。
また受講生の側にも変化が見られます。
すなわち、最近はサラリーマンとして活躍して来られた人達が定年を迎え、これから本格的に林業をやってみよう、或いはまた地球環境問題に対処するためリサイクル問題やバイオマスエネルギー開発に関心を持たれる人達も増えておられるとの印象があります。
大学としても、平成17年度から、カリキュラムも大幅に見直し、林業コースに加え、指導・普及関係のコースの増設を図り、新たな期待に応えて行くなど社会の需要に対応しての運営に努めているところであります。
最近の佐渡の林業を取り巻く情況は、間伐材の利用促進問題に見られる全国共通の課題と同時に、アテビ植林の拡大意欲など地域の特性を踏まえた発展策も進んでいます。
一方、佐渡島全体を取り巻く課題としては、観光客など来島者の減少問題などどこに行っても聞かれますが、このような問題解決には、全島を通じた一体意識、言葉を変えて言えば、すべての人々が島全体を共有しているという意識で行動することが求められるでしょう。
この二十六年間で卒業された実践者大学卒業生の七万島民に占める比率は決して低くないわけでありますから、その活動に期待が掛かるわけであります。
最近、申し上げておりますように、林業関係者であっても島を訪れる人達に楽しんでいただける、景観美化運動に邁進して欲しいと言うことであります。
ドイツやスイスで見られる美化活動がわが国でも徐々に進んで来ていますが、佐渡こそもっともっと美しくなれる要素があります。
家の窓辺や周りを花で飾り、自家山林も複層林化や花木の混植、さらにはアジサイなどの樹下植栽もあわせて美観を形成することによって島の魅力は確実に上昇することになります。
十七年度は受講生の方々と東大の千葉演習林で合宿をしました。
十八年度は能登での合宿になりますが、そこではアテ(佐渡ではアテビ)林業の実際と同時に能登半島の景観美を体験できる絶好の機会となりましょう。
最後に佐渡林業実践者大学が地域環境及び地球環境に貢献するという志を持ち存在感をますます高めて行かれることをお祈りします。
(平成18年8月7日記)


トップページへ