次の記事は、毎日新聞 2006年7月17日 東京朝刊に掲載されたもので、森協ネット会員の羽鳥さんから連絡がありました。
◇風倒木、植木鉢に再生
95年、静岡県御殿場市の森林は大型台風の襲来で大きな被害を受けた。樹齢100年以上の広葉樹も針葉樹も何本も根こそぎ倒された。現場を見て「捨てるしかない」とあきらめた地元森林組合長に、「もったいない。自分に使わせてくれ」と訴えた人がいた。現在、NPO法人「土に還る木・森づくりの会」(http://www.tsuchinikaeruki.or.jp)で代表理事を務める関田喬さん(71)だ。
関田さんのアイデアは、風による倒木をそのまま20センチほどの長さで輪切りにし、切り口から中身をくりぬいて植木鉢にするというもの。「自然そのままの樹皮がきれいだし、朽ちたら肥料にもなる」。翌年、都内の森林関係の展示会で販売したところ、400個が飛ぶように売れた。元々自然が好きだったので、単なる植木鉢販売には飽きたらず、森づくりの取り組みを始めた。
応募した参加者が、地元御殿場のドングリなどから育てた苗木を、この植木鉢に植え、自宅に持ち帰る。数年後に育った苗木を御殿場に持ち帰ってもらい、植木鉢ごと土に埋めてしまえば、新たな森が生まれる。「死んだ木が子供の木を育てる」。植木鉢の材料となる風倒木や間伐材は全国にあるため、活動を広めることもできる。
97年に日本財団などの支援を受け同市内に工房を開設し、植木鉢を作る体験教室を始めた。ほとんどの加工は事前に済ませているので、小学生でも簡単に完成できる。00年にNPO法人化。約7000人が植木鉢作りに参加した。
会員の過半数が60歳以上で占められているのも特徴だ。ボランティアに頼るだけではなく、高齢者が収入を得る場を作るため、04年10月には観光バラ園「リビングローズガーデン御殿場」を同市内の巨大商業施設内にオープンさせた。元気な高齢者が森づくりを支えている。【冨所卓也】
毎日新聞 2006年7月17日 東京朝刊