フォーラム(The Third Meeting of the Forest Dialog Forum of China)は、2006年9月26及び27日の2日間にわたって、中国国家林業国及びFAO等の国際機関との連携で北京において開催されました。出席者約百名、日本からは、鹿児島大遠藤日雄教授及びJOFCA小澤の二名出席。
遠藤日雄鹿児島大教授(右)と小澤
中国・国際森林フォーラム(於、北京)に参加して
表記フォーラム(The Third Meeting of the Forest Dialog Forum of China)は、2005年8月に第一回が開催された後、第二回が2006年四月に開催され、今回(2006年9月)で早くも三回目を迎えた。
筆者は、第一回の会議に招かれて参加し、日本の林政の転換について、森林・林業基本法を中心にプレゼンテーションを行ったが、今回は、森林及び環境を核とした、地域協働運動であるモデルフォレスト運動を取り上げ、京都モデルフォレスト運動の進展状況について発表を行ったものである。
京都府では、森林問題への対応の為、既に緑の公共事業を平成14年度から実行してきた。
さらに、平成16年度から、山田府知事のリーダーシップにより、モデルフォレストの先駆的プロジェクトとして、京都モデルフォレスト創造事業を開始し、さらに平成17年10月、京都府森林条例の制定(平成18年4月施行)に加え、平成18年9月、モデルフォレスト運動の中核体となる、(社)京都モデルフォレスト協会の設立発起人会を行い、10月末までの新協会の正式設立(予定)を決議したところである。
本格的な、モデルフォレスト運動は、わが国では、はじめての試みであるが、さらにあくまで、京都流(京都スタイル)を追求しようとしているところに特徴がある。
したがって、新規設立の協会のメンバーも、現在募集中ではあるが、サントリー、松下電器産業、日本生命などの各有力会社をはじめ、茶道裏千家、 華道池坊、金剛流、京都仏教会、京都府神社庁、ボーイスカウト、ガールスカウト、緑の少年団などの参加も見込まれている。また林業・木材産業団体の参加に加え、各大学、研究機関、各種NGO、ボランティアグループの関心も高く、市町村も加え、まさに府民総ぐるみの運動体として、真に多様な森づくりによる景観の維持、森林の保全や温暖化防止などの活動が展開されることになろう。また地域材活用についてもウッドマイルス発想との組み合わせにより推進される機運が生じている。
すなわち、特徴としては、府条例とモデルフォレスト協会という組織が両輪となってモデルフォレスト運動が展開されることになるが、京都流の最たるものは、参加団体等(ステークホルダー)の顔ぶれが、国際的に見て極めて多彩かつ個人レベルの参加も歓迎するシステムを目指していることから大きな可能性を秘めているといえる。
さらに今後、世界各地で展開されているモデルフォレスト運動の国際ネットワークへの加入も予定されていることから、森林・環境についての国際交流の促進により、情報交換、人材育成のための交流なども盛んになると考えられる。
同時に、アジア地域においては、中国、タイ、インドネシア、フィリピン、インドなどのモデルフォレストを結ぶアジア・モデルフォレストネットワークが構築されていることから、京都の参入により、アジア地域における森林を核とする地域協働の活動や連携が一段と前進するものと予想される。
発表後、参加者から京都モデルフォレストに対する関心が示された。
一方、中国、タイ、フィリピンなどのモデルフォレストの立ち上げについては、日本政府からのFAOに対する拠出金に負うところ大なるものがあったが、立ち上げ後は拠出金がうち切られ、活動資金の確保に悩んでいるとの声も聞かれた。資金問題は、今後の課題の一つであるといえる。
なお、京都府による京都モデルフォレストについての案内は、府のホームページを参照されたい。http://www.pref.kyoto.jp/rinmu/14100031.html
(以上、平成18年10月2日、小澤普照 海外林業コンサルタンツ協会・京都府参与 記)
以下参考のため、フォーラムの日程を掲載します。
初日(9月26日)、15時15分から、京都モデルフォレスト運動の展開についてプレゼンテーションを行いました(小澤普照)
発表要旨(英文)をご覧ください。
全文(英文)