(感想とお願い)
平成18年9月8日、京都府公館で開催された、(社)京都モデルフォレスト協会設立発起人会に発起人の一人として出席しました。
冒頭、山田啓二京都府知事さんから呼びかけ人代表としてご挨拶がありましたが、その中で、カナダ発祥のモデルフォレストという運動があることを筆者から知らされ、京都モデルフォレスト運動の開始に繋がったとのお話があり、光栄に思いました。
筆者が、モデルフォレスト運動を知ってから早くも14年の月日が過ぎました。モデルフォレストと名付けられた地域協働活動は、地球サミットが開催された1992年にカナダで始まりました。
丁度この年の6月、ブラジルで地球サミットが開催されましたが、サミット期間中の日本政府(林野庁)主催の主要国森林関係者会合の席で、カナダ政府代表の一人であった当時カナダ森林省次官補のジャグモハン
メィニィ氏(カナダ政府退職後は国連森林パネル事務局長として活躍)からモデルフォレスト運動について、説明があり、さらに、日本に対し理解と応援を求められました。なおこの時の日本側からは、大来佐武郎氏、田中正則氏らが筆者と共に出席しました。爾来、森林の持続を目標とする広範囲な地域協働運動であるモデルフォレスト運動に関心を持ち、林野庁退職後、カナダを個人的に3度訪問し、アルバータ州のフットヒルモデルフォレストや東部オンタリオモデルフォレスト、ファンディモデルフォレストなどを訪ね理解に努めて来ました。
また、アジア地域で、わが国政府(林野庁)からFAOへの拠出金によって立ち上げがなされた、中国の臨安市(浙江省)やフィリピン・サマール島でのモデルフォレスト運動につきましても現地を訪れ、意見交換などを行って参りました。
日本においても、規模の大きい、森林を核とした地域協働運動が、山積する森林問題や環境問題の解決に有効であると考え、その実現を念願しておりましたところ、平成14年12月、京都で環境省主催の環の国くらし会議が開かれ、はじめて山田知事さんにお目にかかりました。
森林・環境問題の解決に大変強い決意を持っておられた知事さんと会議終了後、交流が深まり、また有識者や府の担当スタッフのご努力が実り、京都独自の叡智を結集した、より進化したモデルフォレスト運動を展開するための準備が整って来ました。
この間、平成15年度は、国土交通省の調整費による、この年の地方自治体提案唯一の琵琶湖淀川流域国土保全ネットワーク形成に関する調査が行われ多くの有識者のご参加を得て、筆者も委員長を仰せつかり、モデルフォレスト運動実現の第一歩を踏み出したのであります。
その後は、16年度から府としてモデルフォレスト創造事業を開始され、急テンポで進展してきました。
私は平成15年の秋にカナダに参り、友人でもある国際モデルフォレストネットワーク事務局事務総長のピーター ペッソーさんに会って京都来訪を要請したところ、快諾していただき16年1月に京都に来られ、知事さんとの意見交換、さらに関係者に対してモデルフォレストの理念の説明も丁寧にしていただきました。
17年4月から筆者はさらに府参与という立場で微力ながら、参画させていただきましたが知人や友人である経済界の方々とお話していましても積極的な反応があり、心強い限りであります。
今回の(社)京都モデルフォレスト協会設立発起人会に参加されました方々を見ましても、非常に広範囲で、従来の縦割り社会の壁を破り、文字通りの地域総ぐるみの運動を展開をしていくための第一歩であるとの思いを強く持った次第です。
わが国では、おそらく、はじめてと言って過言ではないと思いますが、産・学・官・NGOなどによる森林を核とする真の地域協働運動が先ず京都の地域から始まり、国内でも注目されることになると思われますが、今後さらに国際ネットワークへの加入により、国際交流が進み、人材育成の場などとしても有効に機能することを願っております。
発起人会終了後は、本格的な会員募集が始まることになります。産・官・学・NGOそれぞれにおかれましても従来の専門の領域を越えられて、地域(森林・環境など)を共有するという理念のもとに広範囲に参加されますよう関係者の一人として、お願い申し上げる次第です。(平成18年9月9日、小澤普照記)
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